隣の部署の佐藤さんには秘密がある
　佐藤さんの写真を見た健斗さんは、見てはいけないものを見たような顔をしている。そんなに？そんなにすごい写真なの！？

「この写真とは違うんですか？」
「ぜんっっっぜん違います。晃太、これは彼女に見せるべきだ。お姉さんはよくわかってる。」

「どんな写真なんですか？」
「言っていいか？晃太。」
「……」

「彼氏と彼女が同じ部屋にいまして……」
「良いって言ってないのに！」

「ははは、これは免疫がつくまで1ヵ月くらいかかると思います。さきさん、お酒出しますよ！」

　健斗さんはショッキングピンクのカクテルを差し出した。お言葉に甘えて一口飲むと、見た目のかわいらしさに反して強いアルコールを感じた。これは健斗さんの後押しだ。

「佐藤さん、私、頑張ります！送ってください！」
「う、うん……」

　握りしめていたスマホが震えた。私は気合を入れてタップした。

（ぎゃぁぁぁぁぁーーー！）

　私はカウンターに突っ伏した。

「さき！？もー、健斗のせいだからね！」
「酒じゃなくてお前のせいだろ。ははは！」

　私はグラスを手に取ってカクテルをゴクゴクと流し込んだ。すると、全身が燃えるように熱くなった。

「健斗さん！おかわりください！」
「はーい。」

「やめときなよ。それ強いんだから……」
「佐藤さん！私は絶対に克服してみせます！絶対……絶対に見られるようになりますからね！」

　お酒を飲んで、写真を見て悶える。私はそんなことを何度も繰り返した。
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