二人で恋を始めませんか?
部長のバディに
「おいおい、どうしたんだ? みんな。いきなり覚醒したのか?」

優樹の研修が始まってから1ヶ月が経つと、メンバーが次々と新規の契約を取り始め、小澤は驚きを隠せなかった。

「何が起こった? やる気スイッチでも見つけたか?」
「課長、全部白瀬部長のおかげですよ。俺たち部長の研修のおかげで、仕事のやり方がようやく掴めたんです」
「へえ、そうだったのか」

さすがは優樹だなと感心した小澤だったが、沙和と茉莉花も新規クライアントからの依頼を受けたと報告され、目を丸くする。

「乾に、清水まで!? いったい何をどうしたらそんなことに?」

沙和と茉莉花は顔を見合わせて、ふふっと笑う。

研修を受ける度に、二人もどんどんコツを掴んでいた。
プレゼンも回を重ねるごとに上達し、優樹はそんなメンバーに新たなフレームワークとして、SWOT分析やロジックツリーなどもレクチャーした。

「乾さんも清水さんも、さすがは女性の好みや流行を熟知してるな。解決案で提示した参考資料のカフェの写真や内装のデザインは、男性社員とはひと味もふた味も違う。これは二人の大きな強みになるはずだ」

優樹のその言葉に嬉しくなり、自信を持って営業してみたところ、二人とも新たなクライアントに契約を結んでもらえたのだった。

「嬉しい悲鳴だな。人手が全く足りない。おい、優樹。ちょっとミーティングしよう」

会議室にこもって相談した二人は、オフィスに戻って来るとメンバーを順に呼び出し、案件の振り分けを伝える。

「次、清水!」
「はい」

呼ばれて茉莉花は小澤のデスクに向かった。
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