私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない

そして今ダイニングテーブルにお金を
全部出して、途方に暮れていた。

２人で話し合ってそのお金で、
買う予定だった車を買うことにした。

６００万くらいのくるまだったので、
残りの３００万は二人が育った養護施設に
寄付することにした。

連絡すると院長はちょうど屋根を
直さなくてはいけなくて国からは
１００万位の予算しか出ないので
困っていたと言って大喜びしてもらえた。

このお金があれば屋根をすべて直せる
と言って感謝された。

競馬で手に入れたお金で、車が買える
なんて出来過ぎでちょっと恐ろしいが、
その後三崎からかかってきた電話で、
幸にお礼がしたいと言ってきたので、
ユキがビーナスのお陰で９００万もの
お金を手に入れてしまったのと言って
報告したら喜んでくれた。

だから、お礼なんていらない。

ビーナスにお礼を言うのは私達だと言ったら
電話の向こうで“幸さんもユキさんも
奥ゆかしいなあ”と言って笑っていた。

三崎は３０万単勝でビーナスを
買ったのだそうだ。

だから、４５００万程の金額に
なったようだ。

ユキはただお祝儀でビーナスの馬券を
買っただけなのだ。

まさかビーナスが勝つなんて思っても
いなかったようだ。

この話は事務所では伊藤先生にだけ報告して
ユキは翌年の確定申告の時に税理士に
しっかりと処理をしてもらった。