私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
幸はビーナスの首に抱き着いて

「ビーナス、よく頑張ったわね。
素敵だったよ。綺麗だった。
見とれてしまったわ」

そういう幸にビーナスは鼻を擦り付けて
甘えてきた。

三崎はこの後も色々と手続きとか
あるのだろうからユキと幸は先に
帰ることにした。

調教師が幸とビーナスの写真をぜひ
取りたいと言ったので一枚とってもらった。

三崎にこっそり後で写真をもらっておいて
ほしいとお願いした。

そして二人で帰ろうとしたらユキが、

「幸、実はすごい事になってしまったんだ」

とユキは申し訳なさそうに幸に話した

「どうしたの、何か悪い事?」

と心配顔の幸に

「実はビーナスの馬券を単勝で買ったんだ」

「あらっ、よかったじゃない」

「それがさ、6万買ったから900万以上に
なったみたいなんだ。
万馬券というものらしい」

「ええっ、900万…」

と言ったまま幸は絶句した。

2人は有人の払い戻しカウンターに行って
現金で900万以上の払戻金を受け取った。

幸の持っているバックには入りきらなくて
ユキはスーツのあちこちのポケットに
100万の札束を入れた。

2人は無言でタクシー乗り場まで行って
そのままマンションまで帰ってきた。

タクシーの中でも二人は無言でこのお金の
重みをどうしていいかわからなかったのだ。
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