私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
その後も、三崎からビーナスが重賞レースに
出るたびに幸にビーナスの応援に来てほしい
と言われて、大阪や京都の競馬場まで
でかけることもあった。

その後はユキは馬券は買わなかった。

幸はそんな律儀なユキがおかしくて、
なぜ買わないのと言うとそれで味を占めては、
間違った方向に進むのが怖いと言っていた。

幸とユキは車の事をビーナスと呼んで、

”今日はビーナスで迎えに行くね“とか
”明日はビーナスでドライブしよう“と
言ってビーナスに感謝を忘れなかった。

そしてビーナスを応援に行くときは、
ユキといつも二人で行くと決めていたので、
幸の都合がついてもユキの都合が
つかなければ、幸は行かなかった。

幸がいける時はいつもビーナスは
頑張ってくれた。

馬主席で最後の直線に掛かるといつも幸が
叫ぶ ”走れ!ビーナス!“ は馬主席でも
有名になって、みんなで声をかけてくれる
時もあるほどだ。

馬主席に幸が居るとビーナスの人気が
高くなるらしい。

幸が応援に行ってビーナスが負けたことは
一度もないのだ。

三崎は幸にレオンを幸の持ち馬として
譲ってくれた。

それ位しかお礼ができなくて申し訳ないと
言われて、幸はありがたく受けることにした

ユキも乗馬クラブの永久会員にしてもらって
二人で時間が会うときにはクラブで乗馬を
楽しんでいる。

二人はユキの年末年始のお休みを利用して
ハワイにハネムーンに行ってそこで
二人だけで結婚式を挙げたのだ。

幸のウエデイングドレス姿は神々しいまでに
美しくてユキは言葉もなくただ涙を
流していた。自分の長年の夢がやっと
叶ったのだ。

ユキの白のタキシード姿も似合っていて
イケメン度が5割増しになっていた。

二人の結婚式の大きな写真はリビングに
いつまでも飾られてあった。
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