私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
そして、数日後の夜、明日から北陸に
出張だと言ったので二人で婚姻届けに
サインをしてユキが出張から帰ったら
二人で提出に行こうなと言って
ユキは朝早く出掛けて行ったのだ。

でも、それからユキは帰ってこない。

幸はすぐに伊藤一先生に連絡をして、
ユキと連絡が取れない事、警察に行って
行方不明届を出したほうが良いのかと
相談したが、ユキと幸は婚姻届けを
出していないことから受理に時間が
かかるので伊藤先生が会社で出して
下さると言ったのでお願いした。

事務所でも連絡が途絶えて心配して
いたらしい。

行方不明届は色々事情を聴かれるので幸も
一緒に行くように言われた。

警察ではユキと喧嘩したのではないかとか
そんなに長く一緒に住んでいて婚姻届けを
なぜ出していなかったのかとか二人は
うまくいっていたのかとか、腹立たしい
事をたくさん聞かれた。

でも、予め伊藤先生に言われていたので
幸は落ち着いて時々涙目になりながらも
しっかりと答えた。

そして伊藤先生から今回の出張の目的を
聞かされて驚いた。

今回北陸のA市の漁業協同組合が漁業権の
範囲を争って地元の不動産開発業者と
もめていて、その訴訟の裏取りにユキが
A市に向かったようなのだが、
不動産開発業者の言っていることに虚偽が
あるとユキからの報告があってその内容や
証拠がメールで送られてきたそうで、
これで漁業組合が勝訴できそうだと
事務所内でも喜んでいたらしい。
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