私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
伊藤先生には山梨から連絡してもらうように
お願いした。

冷静に状況を説明できる自信がないからだ。

伊藤先生は何時でもユキが帰ってきたらまた
弁護士として働けるように雇用関係は
そのまま残しておいてくれている。

山梨にユキの弁護士としての大切な書類や
合格証や大学の卒業証書弁護士登録の書類
などユキに関する大事なものを預けて
ユキに届けてもらうようにお願いした。

書類鞄いっぱいになった。

それはたぶん興信所の仕事とは違う
だろうが山梨は快く引き受けてくれた。

そして、記憶が戻っているなら一度
一法律事務所に行って伊藤先生に会うように
言ってほしいと伝えた。

未だユキはそこの弁護士なのだから、
あの漁村で彼女と暮らすにしても一度
伊藤先生に会うべきだと思うからだ。

そういうと山梨は寂しそうに笑って、
すべてきちんとやりますと言ってくれた。

それから1週間後貝原の用意してくれた
セキュリテイの高い都心のマンションに
幸は引っ越した。

ユキにはマンションに来て必要なものを
持っていくようにと伝えてもらった。

鍵も一緒に渡した。

幸が引っ越した後山梨が書類鞄と鍵と幸の
伝言を持ってユキのもとに行ってくれた。

それから数日後ユキはマンションに来て
必要なものを持って行ったらしい。

これでユキとはお別れだ。
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