私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない

ユキの苦悩

ユキは山梨に声をかけられて幸の写真を
見た後ひどい頭痛がしてどうにも
動けなかった。

カフェに連れていかれて山梨の話を聞いて
自分の名前や歳そして弁護士であると
聞いても、信じられなかった。

でも写真には自分と夢にいつも出てくる
青い瞳のビーナスが仲良く何時っていた。

幸に電話をして幸が“ユキ“と言った時に
ずんと胸に響くものがあった。

その後、記憶が押し寄せてきたのだが、
まだ自分の中で整理がつかなかった。

恵子さんが倒れたと泣いて電話してきた
裕美の所にとりあえず帰らなければ
ならなくて、幸には改めて連絡しようと
思い村に帰ったのだ。

その夜恵子さんの病院のベッドの横で
泣き疲れてベッドに突っ伏して眠る裕美を
見つめながら、すべての記憶が繋がって
いくのを感じた。

すぐに幸に会いに飛んでいきたいと
思ったが、こんな状況の恵子さんと裕美を
置いてはいけなかった。

そしてそれから５日後恵子さんは一度も目を
覚ますことなく亡くなってしまった。

くも膜下出血と言う事だった。

俺は呆然とする裕美を励ましながら恵子さん
を家に連れて帰って葬儀の手配をした。

俺の黒のスーツは葬儀社のレンタルで裕美は
持っていた黒のワンピースを着た。

近所の人が焼香に来てくれる中、裕美は
ずっと俺の胸に縋って泣き続けていた。

二人っきりの家族で裕美は一人っ子なので
兄弟もいない親戚も付き合いはないようで
頼れるのは俺だけだったのだ。

そんな中幸が現れた。

幸は輝くように美しかった。

２年半の間に大人びて色気も半端ない
俺の青い瞳のビーナスは今や全国的に
人気のモデルなのだ。