私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
レオンの優しい目を見て思わずレオンの首筋
に抱き着いて涙を流してしまった。

「レオン、ごめんね。こんな気持ちで
レオンに乗せてもらうなんてできないね。
今日はレオンと会えただけでいいわ。
ブラッシングして馬房のお掃除を
させてもらおうかなあ」

そういってレオンを撫でていると、
三崎がやってきて

「幸さんどうしたんですか?
そんな悲しそうな顔をして、
レオンが心配しますよ」

「そうですよね。ちょっと悲しい事があって
今日はレオンのブラッシングをして馬房の
お掃除をさせてもらおうかと思っているんです
こんな気持ちでレオンに乗るわけには
いかないですし」

そういうと、はかなげな微笑みを
三崎とレオンに向けた。

「そんな事ないんですよ。こんな時だからこそ
レオンに慰めてもらうんですよ。
なあ、レオン」

三崎がそう言うとレオンはさあ乗れという
ように幸を鼻先で鞍のほうに押しやった。

「ほら、レオンもそう言っている」

「わかったわ、レオン。ありがとう」

そうして三崎と二人でトレッキングに
出かけた。

今日はいつもと違うコースでずっと山の
ほうに上っていく三崎の後をついていくと
広く開けた場所に出た。

三崎は馬を降りると、幸に手を貸して
降りるように即した。

2頭の馬は周りの木につないでくれた。

小さなベンチが一つある。

そこに座って、三崎は水の入った
ペットボトルを手渡してくれた。
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