ラスト・ゲーム

願いを叶えたい9名の少女

「…!…!」
「…?」
「…や!」
「そ……きなさい…!」
!?
何かしら?
きっと「そこ起きなさい」って言われたと思う。
目覚めると、そこには8人の子がいた。
な…に…?
「ここ…何かしら」
「何かしらって、あなたたちの学校よ」
え!?
確かにここは学校だ。
ここは多目的室だった気がするわね…
「あの…その…こん…ちは」
か弱い声の女の子が私に近づく。
「あら、こんちは」
「頑張って解散させないからね〜!あきらくん♡」
あきらくん?
誰のこと…?
もしや彼氏?
誰かのことを「あきらくん」と呼ぶ派手そうな子の隣を見る。
同じく派手な金髪の子がいる。
「わーい♪世界一のライバーになれるぞ〜」
ライバーをやってるらしいわね…
隣は少し地味っぽいショートにの子がいる。
「あいつら…ぶっ潰してやる」
見た感じは地味なのに口では恐ろしいこと言ってる…
誰かに恨みがあるのかしら。
「親を…見返してやる」
髪型がアシンメトリーな子がぶつぶつ呟く。
親を見返す…?
「ふっ、私の願いが1番価値あるわね」
典型的なお嬢様っぽい子が偉そうに腕を組む。
「認められないと…」
茶髪の紫色の目をした子はどうやら認められたいらしいわね…
するとサッと少し派手な子が私の前を通り過ぎた。
「待っててね…神奈(かんな)」
神奈…?
とにかく随分と個性強めな子が集まったなあ…
ギギギ…
「?」
不快な音を立てて扉が開いた。
「こんちはやで〜!ワイはあやめグループの一員!カナエ先生やで〜!」
ドクン。
…まさか。
「あやめ…」
「そうや!日本中を牛耳る、あのあやめや!」
「すご〜い!私あやめの人にあっちゃった!」
ライバーの子が喜んでいる。
喜んでいる場合じゃない。
もしかしたら…私はまた…
「で、そんなすごい企業の人なら早よ願い叶えてよ」
誰かに恨みがあるらしい子が不機嫌そうに話す。
「ノーノー!今から願いを叶えるわけではないやで〜」
「え?」

「今からみんなに、ゲームをやってもらうで〜!…それも命と引き換えに⭐︎」

ああ…そんな…
また、こんなことと関わってしまうなんて…
あやめのデスゲームに。
目の前のことから今すぐ逃げ出したい。
「ちょっと〜どーいうことよ、命と引き換えのゲームって」
「そんなの脅しだよね?」
違う、脅しじゃない。
「ノーノー!本当に命と引き換えやで〜」
「証拠はありますの?」
「あるで〜!」
え…まさか。
「ほな、電子黒板をみや!」
電子黒板に突然どこかの家の中が映し出された。
そしてどこかの部屋の中に女の子がいる。
「この子、メール受け取ったのにここにきてないんや。あのメール、強制って書いてあったやろ?」
てことは、本当はゲームの参加者…
ああ!だめよ!今すぐ逃げて!!!!!
「それが何よ」
「見せしめ&罰ゲームで、この子はおさらばやで〜」
画面の中の子がiPadに触れる。
『ぎゃあああああああああ』
すると突然iPadに電気が流れた。
みんないきなりのことで頭の整理がついていないと思う。
「この前、iPadの点検ってことで、みんなiPadを出したやろ?あの時ワイがゲームに来なかったら電気で一発アウトってプログラムしこんどいたんや」
「は!?ってことは私たち、殺されるの!?」
みんな、ようやく理解できたわね…
「ゲームに勝てば、殺すのはやめやし、願いを叶えてやるで〜」
願いを、叶える…
「…だったらやってやる」
!?
誰かのことを「神奈」と読んでいた子が言い出した。
ちょっと!?
「私も」
「私だって負けない!」
ちょっとちょっとちょっと!
いきなりそんな意気込んでたら…
「おお!よーやく皆気合い入ったで!んじゃ、ゲームの準備をするから、自己紹介でもしとけや!あと、ここから出たら即アウトやで?」
バタンとドアが閉まる。
信じられない…
「まあ、ととととりあえず…自己紹介、しよっか…」
慌てながらか弱い声の子が喋る。
「えっと…泉加奈(いずみかな)です…お母さんが…逮捕されちゃうんです…それで、お母さんが捕まって欲しくなくて、ここに…来ました…」
なるほど…
「次は私ね。宮井さあや(みやい-)です。歌手になりたいけど、親が意見を変えてくれない。反対意見を変えるためにここにきた」
こっちの子ははっきりしてる。
「じゃあ、次あなたにしよっか」
「は、はい…近藤晴美(こんどうはるみ)です。いじめれられていて、いじめっ子を潰してやりたくて来ました」
ところどころ私と似てるな…
「んじゃ!うちね〜!浦山吉良(うらやまきら)でーす♪LaLalight(ララライト)って男子アイドルグループあるよね?ちなみにあきらくん推しでーす♪」
アイドルはあまり詳しくないけど、テレビとかでは見たことある。
「でもLaLalight解散しちゃうんでーす!それで解散止めたいです!」
なるほど。
いわゆる推し活ってやつだ。
「姫咲モカ(ひめざき-)だよー♡「みるくちょこ」って名前でライバーやってます!世界一のライバーになるために来ました!」
やっぱりライバーやってたんだ…
「次はわたくしですわ。わたくしは西条寺若菜ですわ」
西条寺って…
「西条寺って、あの西条寺不動産!?」
「その通りですわ。でもどうしてもお父様はあやめグループに勝てないですもの。そこで、ここでこの西条寺不動産をあやめグループ以上の会社にしてみますわ」
「自分語り長すぎ。じゃあ、私ね。野々木すみれ(ののき-)です…親に成績が認められないといけないから、ここに来た」
なるほど…
「そんなの、努力すれば叶うじゃないの」
誰かを神奈と言っていた子が口出しする。
「私はどうしても成績が上がらないといけない!親が高い学力を求めて…」
「はわわわわわわ…」
加奈と名乗っていた子がまた慌てる。
「ちょっと〜落ちつこーあと2人も自己紹介終わってないよー」
吉良と名乗っていた子がこの喧嘩を落ち着かせてくれた。
よかった…
「…私でいいね?萩野杏奈(はぎのあんな)です。妹の神奈(かんな)が2年前亡くなりました。神奈を生き返らせるためにここに来た」
「努力すれば叶うじゃないの」ってこういうことか。
杏奈さんの願いは、どう頑張っても叶えられない。
「次は…」
ハッとした。
よく見ると全員私を見ている。
あ、そうか。次私だったわ。
「水木かなたよ。参加理由は…」
ここであやめを潰すと言ったら、まずいだろうな…
しかもあやめのことだし、監視しているかもしれない。
「…クラスメイトを殺した人に復讐するためよ」
とりあえずごまかせた…
まあ、嘘ではない気もするけど…
ギギギ…

「みな、自己紹介できたか?」
全員が首を縦に振る。

「みな、本気でやれな?ほな、ゲーム開始や!」
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