鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
手元に落としていた視線を隣に向けると、彼は深刻そうに眉根を寄せていた。

「どんな復讐をするつもりなんだ?」

「法に抵触するようなものじゃないから安心して。父を会社から追い出すだけよ。父が作り上げ、心血注いで大きくした会社から。なにより大切にしている山城建設の会長の座から引きずり下ろすの」

追い出したあとは方針や体制をガラリと変える。

怒った父がなにか言ってきたら、自分の意見が一切通らない現実を見せつけてやる。

きっと魂を奪われたような心地がするだろう。

視線を絡めたまま、お互いに無言になる。

(どうやって止めようかと考えてる?)

「やめろと言っても構わないわよ」

つい好戦的な口調になってしまう。

「言わないよ。復讐を心の支えに生きてきたんだろ? 俺には止める資格はない」

「そう……」

父への復讐は三条家の家族にも話したことはない。

自分の幸せを求めた方がいいと言われるに決まっているからだ。

昴もきっと止めるだろうと思っていたので拍子抜けした。

「山城建設に入社した理由がわかった。会長の意のままに動いているのは、いつか追い出すための布石か。俺との結婚も?」

さすがは昴だ。理解が早い。

「ええ。あなたと結婚したのは父がそうしろと言ったから。父の指示に従わず社長を解任されると困るのよ。いつか父の一番大切なものを奪うために、今は耐えるしかないの」

彼の眉間の皺が深くなり、喉仏が上下した。

(傷つくわよね。ごめんなさい)

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