鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
彼の片腕が腰に回される。

「昴さん……」

完全に絢乃の味方だという意思が伝わってホッとすると、彼が優しい目を向けてくれた。

「うそっ……」

目を見開いている唯華に、昴が冷たく言う。

「妻以外の女性に触れられるのが苦手なんです。嘘つきで自分の意見ばかりを主張し、周囲を振り回すワガママな女性はもっと苦手です」

「失礼だわ。パパ、謝らせて!」

猫を被るのを忘れた唯華が真っ赤な顔で声を荒げた。

父は溜息だけで、ソファに腰を戻した。

「ママ!」

それならばと唯華が三人掛けのソファに顔を向けた。

「昴さん、唯華は箱入り娘で育てたせいで世間知らずなところがあるのよ。それにまだ大学生。寛大な気持ちでお相手してほしいわ。ワガママと言ったのを訂正してくださらないかしら。あなたは絢乃の言葉を鵜呑みにして、本当の唯華をなにも知らないでしょう?」

娘をかばう継母に、昴が余裕の笑みで返す。

「たしかにワガママというのは失礼でした。今後は欲と感情の赴くままに生きている女性と言うことにします」

(つまりワガママ、ということよね)

継母が顔をしかめても彼は動じない。

「なにも知らないわけではありません。職業柄、飲食店のオーナーに知り合いが多いので、そういう業界の方から唯華さんの噂を耳にしたことがあります」

唯華は芸能人やセレブが集うバーの常連で、頻繁にビップルームで豪遊していると彼が暴露した。

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