鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
来週から三日間の海外出張を入れているので、不在の間に業務が滞らないようにしておかなければとどうしてもせっかちになった。

稟議書を確認していたが、ふと昴の顔が浮かんで手を止め深呼吸した。

(時間が足りなくても、気持ちだけは余裕をもたないと)

いつも慌てずゆったりと構えている彼を見習いたい。

そう思っていると、呼び出してから十分経ってやっと唯華が現れた。

「ノックしてから開けるのが常識よ。来るのも遅いわ」

ムッとした顔の唯華が応接用のソファにドカッと腰を下ろした。

「誰が座っていいと言ったの?」

「うるさいわね。来てあげたんだから、早く用件を言いなさいよ」

苛立っていても時間がなくなるだけだ。

執務椅子を立って唯華の方へ行く。

ソファで足まで組んでいる妹を見下ろし、淡々と話す。

「あなたはインターン生という立場をわかっていないようね。遅刻に欠勤、社員に対して言葉遣いも態度もなっていない。先週、必要な書類をシュレッダーにかけたんですって? 謝らなかったと聞いたわ」

「告げ口したの? 嫌な指導者ね」

唯華が鼻の付け根に皺を寄せた。

「報告、連絡、相談は社員の基本よ」

「指導者のレベルが低いのよ。私が働きやすいように環境を整えるべきでしょ」

「特別扱いしてもらえると思わないで。あなたも他のインターン生と同じで審査される立場なの。このまま不真面目な勤務態度なら内定を取り消します」

「パパがそんなことさせないわよ。今から就活したって遅いと言われたもの」

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