鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
うつむき加減の絢乃の横顔に不思議そうな視線が刺さる。

(言わないと。これは避けて通れない道なのよ)

「もう十二時よ。昴さんは初夜についてどう思っているの?」

決めていた誘い文句ではなく責めるように言ってしまったが、これも十分に恥ずかしい。

顔が火照るのはどう頑張っても隠せそうにない。

驚いたような顔をした彼は、そのあとになにかに納得して頷いた。

「だからか」

「え?」

「いや、なんでもない。絢乃さんの質問に答えると、抱かないよ」

(そんなの困るわ)

思わず眉根が寄る。

「私は好みじゃない? それとも恋人がいるから? あなたに女性が何人いても私は怒らないし、気にもならないわ」

好みのタイプじゃなくてその気になれないのなら、目を閉じて抱けばいいのにと苦々しく思っていた。

すると真顔で嘆息された。

「随分と不埒なイメージを持たれているようだが、誓って絢乃さん以外の女性と関係は持たない。君を魅力的だとも思ってるよ」

「ますますわからないわ」

「絢乃さんは俺に少しも気持ちがないだろ? 恋人がいても気にしないと言うくらいなんだから。それなのに抱くことはできない」

(好きになれってこと? 無理よ)

ビジネス婚だと彼もわかっているはずなのに、なぜ気持ちを求めるのだろうか。

顔をしかめそうになってこらえる。

「気持ちはどうあれ夫婦になったんだから、体の関係を持つのは当たり前だと思うわ」

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