酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜

拾われた夜、新宿東口で

朝の光が差し込む商店街。
水原奈緒(みずはらなお)は、地元の小学校が主催するゴミ拾いボランティアの取材のために、街角に立っていた。

手に持つメモ帳とペン、そして携帯電話のカメラ。
新聞記者として、毎日忙しく動き回る日々が続いていた。

「お疲れさまです、取材に来ました!」
軽く頭を下げると、ボランティアに参加している小学生たちが一斉に顔を上げ、笑顔で手を振った。

「あ、記者さんだ!」
「こんなところに取材に来てるんだ!」
子どもたちは元気よく声をかけてくる。

奈緒は少し驚きながらも、笑顔で返事をした。
「みんなが頑張っている姿を写真に撮らせてもらおうと思ってね。」
「今日は何を頑張っているの?」
「ゴミ拾い!」
「素晴らしいね。街をきれいにしてくれてありがとう。」

子どもたちは嬉しそうに笑い、奈緒もその笑顔をカメラに収めた。

小学生の元気に圧倒されながらも、街の雰囲気を感じ取っていた。
周りは、久しぶりに見かける風景に和やかな空気が漂っている。

けれど、どこかいつもと違う。
何だか、仕事に追われる日々の中で、心の隙間が埋まっていないような気がしていた。

「取材終わったら、あたしもお昼ごはん食べないと!」

ふと、空腹を感じ、奈緒はお腹を鳴らした。
そして、取材を終えた後は、次の予定が待っていることを思い出した。

それでも、この静かな街角で、ただ子どもたちの笑顔を見ていると、心が少し軽くなるような気がした。
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