酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
「なんであんなミスを…」
奈緒は、肩を落としながらデスクに向かって何度も頭を振った。

あの取材、あの記事、全てが台無しになった気がして、心の中が空っぽになったような気がする。
上司の厳しい言葉が耳に残って、思わずため息が漏れた。

「もう、どうしようもないじゃん…」
呆然としたまま、会社を後にして向かったのは、近くの居酒屋。
一人で座り込み、ビールを頼んでから、グラスを何度も空けていた。

酔ってきた。
頭がふわふわして、心の中が少しだけ軽くなる。
でも、それは一時的なもの。
ミスをしたことへの後悔は、酔いが回るにつれて大きくなる。

「ふう…」
目の前のビールが、どこか遠く感じる。
奈緒は、グラスを持ったままぼんやりと空を見上げた。
すると、店を出る時間をすっかり忘れ、気がつけばもう夜。
酔いが進みすぎて、足元がふらつく。

「うーん…」
なんだか歩くのが難しい。
家まであと少し。
それなのに、足が進まない。

どこかの路地でふと立ち止まり、冷たい風を感じた。
「もう少し…」

頑張ろうと思ったけれど、足が動かない。
立っていられない。
座り込むと、冷たいアスファルトが心地よかった。

「あー、だめだ…」
頭がぐらぐらして、まぶたが重くなる。
「ちょっとだけ、休もう…」

気づけば、奈緒の目は閉じていた。
小さな声で、自分を励ますように呟いた。

少しだけ眠れば、きっとまた明日が来る。
でも、そのままぐっすりと眠り込んでしまいそうな気がした。
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