酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
奈緒は同行を中断して、一度交番に戻るように言われた。

肩にはまだ、瀬戸のジャンパーがかけられている。

奈緒はそれをギュッと掴み、足早に歩いた。

交番は、応援要請の影響で空っぽだった。

静まり返った空間にひとり。

椅子に腰を下ろし、背もたれに身体を預ける。

数分前に起きたことが、頭の中で何度もフラッシュバックする。

怖くて、ただ震えることしかできなかった。

情けなさすぎる――。

中島さんに言われた、「自分のことは自分で守るのが原則、危険を感じたら逃げて」。

あの言葉が、今になって胸を突く。

自分では注意しているつもりだった。けれど心のどこかで、“自分には何も起きないだろう”と、どこか鷹をくくっていた。

現場の緊張感を他人事のように捉えていた。

取材班は、現場の業務に影響を与えるようなことがあってはならない。

私は…プロとして失格だ。
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