酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
帰宅して、奈緒は冷蔵庫の残り物で簡単に夕食を作り、淡々と食べていた。

そんなとき、仕事用のスマホに一件の通知が届いた。

差出人は、新宿署広報の中島さん。

メッセージを開くと、テレビサイドからの提案で、先日放送された交番密着取材のダイジェストが予想以上に好評だったとのこと。

そのため、今後も継続して取材活動を展開していきたいという意向があり、懇親会として会費制で食事会を開かないかという誘いだった。

交番の警察官にも声をかけているらしい。

現場の人たちと、あまり形式ばらずに話せるチャンス。

来るかどうかは分からないけれど、周辺の人たちから話を聞けば、見えてくることもあるかもしれない。

建前としても、テレビクルーや新宿署の人たちと親交を深めておいた方が、今後の取材にも役立つ。

「参加します」との旨を返信し、スマホを閉じた。

ここで、ちゃんと気持ちを切り替えなきゃ。

何度も失敗してきたけど、もし東京日報の話を受けるなら、勤務地は霞が関。

新宿からそれほど遠くないとはいえ、駅前でばったり会う――なんて偶然は、もう訪れないだろう。

夕食の味は、あまりよくわからなかった。

でも、もしダメだったとしても、自分の思いはちゃんと大切にしてあげよう――そう思った。
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