酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
次の日。
奈緒は、これまでの取材ノートや資料をスキャンし、時系列に整理した電子ファイルを社内のクラウドにアップロードした。
ネットワークのマークがくるくると回っているのを確認すると、そっと席を立った。

向かったのは、狩野のデスク。
狩野は顔を上げて、「どうした」と短く問いかける。

「あの件について、お話があります」

奈緒の言葉に、狩野はすぐに察した様子で立ち上がり、会議室へと歩き出した。

奈緒は椅子に腰を下ろし、まっすぐ狩野を見て口を開いた。
「東京日報への転籍に関するお話ですが、ぜひ受けたいと思います」

狩野は静かに頷く。
「良い判断だと思います」

「これまでの交番密着取材に関する資料や記録は、社会部のクラウドに共有しました。他の細かいものも、準備ができ次第共有します」

「助かるよ。後任には3番手だった花園くんが入ることになるだろう」

奈緒は大きく息を吸い込み、背筋を伸ばして言った。
「別の場所での勤務となりますが、これからもよろしくお願いします」

そして深く頭を下げた。
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