酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜

密やかな予感

午後五時。
奈緒は会社の鏡の前に立った。
軽くお化粧直しをして、そっとリップを塗り直す。
鏡の中の自分に、気合を込めるように一度深呼吸をする。

ちょうどそのとき、トイレのドアが開いて、花夏が入ってきた。
鏡越しに目が合う。

「あ、お疲れさま」

花夏はにやっと笑い、からかうように言った。
「何、デート?」

「違うよ」
奈緒は小さく笑って、手を止めずに言う。
「今日、テレビ局と新宿署の皆さんと懇親会なの」

「ふーん。瀬戸さん、来るの?」

「わからない。でも、今日が本当に最後になりそうだから、後悔のないようにするつもり」

花夏は、からかいながらも優しい笑みを浮かべた。
「お酒飲んで大号泣しないでよ」

「この際、大号泣して困らせてやろうかな」

奈緒は冗談めかして笑った。
その笑顔に、少しだけ切なさがにじんでいた。
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