酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
数日が経ち、瀬戸も本庁での新しい仕事に本格的に馴染み始めていた。
所属は「生活安全総務課」。

警察庁の中でも地域安全や防犯対策を担う重要なセクションだった。

地域課や少年課などから上がってくる各署の資料に目を通し、都内全域の治安状況を俯瞰するような日々。

「今までの現場とは、見える景色が違いますね」と隣の席の先輩にぼそりと漏らしたこともあった。

デスクワークが中心だが、所轄との連携や資料作成、週末の安全対策に関する報告書の確認など、業務は多岐にわたる。

「瀬戸さん、さすが現場叩き上げですね」と資料に書き込まれた細やかな補足メモを見た上司に感心された。

午前は庁内会議、午後は管轄署からの照会対応や資料整理、時には近隣自治体との意見交換の場にも出向く。

交番勤務で培った経験が活かされる場面も多く、瀬戸は地に足の着いた説明をすることに定評があった。

警視庁本部の会議室は静かで整然としていて、資料をめくる音とキーボードの打鍵音が響く。

現場の喧騒とは無縁の空間。
だがその静けさの中で、防犯の未来が一つひとつ形作られていく。

「この街を安全にしたい」
そう願って警察官になった初心を、瀬戸はこの場所でもう一度思い出していた。

少しずつ、確かに、彼の“新しい現場”が動き出していた。
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