酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
季節はゆっくりと巡り、東京の街は少しずつ秋の気配を帯び始めていた。

仕事に追われる日々の中でも、奈緒と拓真の穏やかな時間は、確かに積み重ねられていた。

互いに忙しくても、どこかで気持ちは繋がっている。

それを確かめるように、夕食を囲み、交わす言葉に笑い合い、手を繋いで眠る夜があった。

特別なことがなくても、ただ隣にいるという日常が、何より愛おしかった。

奈緒はふと思う。
あの日、道端で拓真に声をかけられなかったら、今のこの幸せはなかったかもしれない。

偶然の出会いが、少しずつ確かな絆へと変わり、今ここにある。

「拓真くん」
ある夜、奈緒はそう呼びかけ、ベランダから見える月を眺めながら、言った。
「これからも、たくさんのことがあると思うけど、一緒にいてね」

拓真は奈緒を腕の中に引き寄せ、柔らかく頷いた。
「もちろん。ずっと一緒にいるよ」

言葉にしなくても、通じ合える心。
何気ない日々の中に、深く静かに息づく愛。

それは、約束ではなく、互いの選び続ける意志だった。

そしてまた朝が来る。
カーテンの隙間から差し込む光の中、目を覚ました奈緒のそばには、変わらず拓真がいる。

きっと明日も、その先も。

二人の日常は、続いていく。
静かに、優しく、かけがえのない愛とともに。

――完――
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