酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
「いや、だからもう、その話はいいってば……」
奈緒は箸を持ったまま、顔をそむけた。

「だーめ!そんなこと言われたら余計に気になるってば」
花夏はにやにやしながら、串から焼き鳥を引き抜いた。

「ねえ、交番ってさ、どうやって運ばれたの?パトカー?それとも、おんぶ?」

「おんぶなわけないでしょ!」
奈緒は慌てて否定したが、すぐに「あーもう……」と頭を抱えた。

「じゃあ、なによ。どうなったの。ちゃんと話して」
花夏は、もう絶対逃がさないという顔をしていた。

奈緒はグラスの水を一気に飲み干すと、静かに口を開いた。

「……気づいたら、道端で寝てたの。で、誰かに肩トントンってされて、起きたら……」

「起きたら?」

「……イケメンだった」

「は!?」
花夏が思わず声を上げた。

「制服着ててさ、警察官で……その人が、私を起こしてたの」

「それってさ、まさか……恋のはじまり的なやつ?」

「ないないない!ないから!」
奈緒はぶんぶんと首を振る。

「でもね、完全に酔ってて……私、多分、無礼すぎたと思う」

「何したの?」

「お巡りさんイケメンとか言った。無線に手を伸ばして、触らないでって言われた。で、なんか、支えてくれないと立てないとか言って、変な駄々こねた」

「……サイアクだね」
花夏が真顔で言った。

「ほんとそれ。もう、人生で一番の黒歴史」
奈緒はテーブルに突っ伏した。

「で?で?その人、どんな感じだったの」

「めちゃくちゃ冷静でさ。多分、私のこと相当面倒だと思ってたと思う」

「まあ、そうだろうね」
花夏は笑いながらも、どこか楽しそうに聞き入っていた。

奈緒は顔を上げ、遠くを見るような目でつぶやいた。

「……でも、優しかったよ。ちゃんと水買ってくれて、タクシーも呼んでくれて」

「優しいじゃん!しかもイケメン!これ、再会フラグでしょ?」

奈緒は黙って、冷たい水に唇をつけた。
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