酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
なんだか、違和感がある。
顔が赤く、うっすらと冷や汗をかいているような気がした。

最初は緊張しているのかと思ったが、言葉の運びやメモの取り方からは、取材には慣れている印象を受けた。

だが、目が合ったときに一瞬だけ、焦点が合っていないような、ぼんやりとした空気を感じた。

その小さな違和感が、徐々に大きく膨らんでいく。

刑事時代の、あの研ぎ澄まされた勘が、胸の奥で警鐘を鳴らし始めていた。

なんとか最後まで質問に答え、取材は一通り終わった。

水原さんが立ち上がろうとしたその瞬間、出口まで送ろうと、自分も腰を浮かせた。

──が、次の瞬間。

「水原さん……?」

彼女の体が、パチンとスイッチが切れたように、その場に崩れ落ちた。
バタンッという音が、静かな会議室に響く。

心臓がバクバクと跳ねる。
一気に血の気が引いた。

「水原さん!」

すぐに駆け寄って、肩を揺らしながら声をかけたが、返事はない。
額に触れると、異様な熱がこもっている。

「誰か!人が倒れた!」

部屋の扉を開け、声を張り上げる。
その声に、近くで事務作業をしていた警察官たちが次々と集まってきた。

「元救命士です!」と、ひとりの警察官が名乗りを上げ、手早く水原の様子を確認する。

「意識はないけど、呼吸と脈はしっかりしてる。すぐに救急車を呼ばなくても大丈夫そうです。意識が戻ったら、まずは救護室に運びましょう」

星崎は大きく息を吐いた。
不安と緊張が、一気に押し寄せてくる。

──まさか、ここで倒れるとは。
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