魔法使い時々王子
アリスの問いかけに、シドはすぐには答えられなかった。
夜空の下、沈黙が長く落ちる。
アリスは待っている。
逃げ道がひとつもないほど真っ直ぐな目で。
シドはそっと視線をそらし、握られたアリスの手にほんのわずか力が入った。
「……アリス。」
名前を呼ぶ声が、震えていた。
「君のことを……大事だと思ってる。誰よりも。」
アリスは何も言わず、ただ聞いていた。
シドは続けようとして、少し躊躇う。
胸の中で渦巻く感情が、喉までせり上がってくる。
「好きだよ。……ずっと前から、気づいてた。」
やっと絞り出した言葉は、ひどく静かで、でも嘘のひとかけらもない本音だった。
ただ——
その次に続く言葉だけは、どうしても綺麗にはならなかった。
「でも……君には婚姻が決まってる。
俺が……こんなことを言って、どうなるんだって……
正直、思ってる。」
握りしめた拳が震えている。
「俺が気持ちを伝えたところで、君を苦しませるだけかもしれない。君の道を……乱すだけかもしれない。」
言いながら、胸の奥が痛んだ。
言いたかったのはこんな言葉じゃない。
でも、言わずにはいられなかった。
ふっと自嘲気味に笑う。
「こんな気持ち……言わない方がよかったのかもしれない。」
それでも——
アリスを見つめる瞳だけは、
揺れる月明かりに照らされながら、
言葉以上に切実だった。
夜空の下、沈黙が長く落ちる。
アリスは待っている。
逃げ道がひとつもないほど真っ直ぐな目で。
シドはそっと視線をそらし、握られたアリスの手にほんのわずか力が入った。
「……アリス。」
名前を呼ぶ声が、震えていた。
「君のことを……大事だと思ってる。誰よりも。」
アリスは何も言わず、ただ聞いていた。
シドは続けようとして、少し躊躇う。
胸の中で渦巻く感情が、喉までせり上がってくる。
「好きだよ。……ずっと前から、気づいてた。」
やっと絞り出した言葉は、ひどく静かで、でも嘘のひとかけらもない本音だった。
ただ——
その次に続く言葉だけは、どうしても綺麗にはならなかった。
「でも……君には婚姻が決まってる。
俺が……こんなことを言って、どうなるんだって……
正直、思ってる。」
握りしめた拳が震えている。
「俺が気持ちを伝えたところで、君を苦しませるだけかもしれない。君の道を……乱すだけかもしれない。」
言いながら、胸の奥が痛んだ。
言いたかったのはこんな言葉じゃない。
でも、言わずにはいられなかった。
ふっと自嘲気味に笑う。
「こんな気持ち……言わない方がよかったのかもしれない。」
それでも——
アリスを見つめる瞳だけは、
揺れる月明かりに照らされながら、
言葉以上に切実だった。