魔法使い時々王子
アリスは、ふと思い出したようにリトを見た。

「ねえ、この国の王族には、魔法使いがいるのって珍しくないの?」

リトは少し考えるように視線を落とし、やがて淡々と答えた。

「母方の家系に、魔法使いが多いんだ。母も、簡単な魔法なら使える」

「そうなの……」

リトによれば、この国には今も魔法使いが少なからず残っているらしい。
特別に崇められる存在でも、忌避される存在でもない。
魔法は、ただそこにある力として受け入れられていた。

アリスは、自然とシドのことを思い浮かべた。

王族に魔法使いが存在せず、それゆえに国を出たシド。
それとは対照的に、この国では魔法使いはそれほど珍しい存在ではないようだった。

同じ「王族」と「魔法」でも、国が違えば、こんなにも意味が変わるのだと――
アリスは静かに胸の内で噛みしめていた。
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