魔法使い時々王子
アリスは迷うことなく答えた。

「星晶は……使うべきではありません」

マルグリットはぎょろりとした目でアリスを見つめ、しばらく黙っていた。
やがて、くつくつと小さく笑う。

「ほほう……ならば、その言葉を忘れぬことじゃな」

マルグリットはゆっくり本を閉じた。

「人は時に、自分の言葉に追い込まれるものじゃえ」

マルグリットの言葉に、アリスは少し唇を噛み締めた。

すると、リトが口を開いた。

「……この話が王宮に広まれば、アリスの立場が危うくなるかもしれない」

イスタリアの国王はアリスの父親。
批判的な声が上がる可能性は確実だ。

マルグリットはそんな二人を見て、肩を揺らして笑った。

「ほほ、そう心配することもあるまい。暫くは大丈夫じゃろうて」

「え?」

「なにせ、もうすぐ仮装舞踏会があるえ。王宮の者はみな、その準備で頭がいっぱいじゃ」

その言葉に、リトは露骨に顔をしかめた。

「……仮装舞踏会」

そういえば、ルーナがそんなことを言っていた気がする。
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