魔法使い時々王子
「舞踏会で着る衣装、決めてきたの。リトは準備、進んでる?」

アリスの問いかけに、リトは本を閉じてため息をついた。

「俺は出ないよ」

「もう、またそんなこと……」

アリスは小さくため息をつく。

「行きましょうよ。リトがいてくれたら、私……心強いわ」

その言葉に、リトははあ、と長めのため息をついた。

しばらくの沈黙のあと——

「……分かった」

しぶしぶといった様子で、そう答える。

「ありがとう、リト!」

ぱっと表情を明るくしたアリスは、ふと思い出したように顔を上げた。

「あ、そうだ。ノエルさんも出ませんか?」

本を運んでいたノエルは、その場で足を止める。

「いえ、私は……」

「俺のお供ってことで、ノエルも出るといい」

リトが淡々と言い添える。

ノエルは少しだけ考えるように視線を落とし——やがて、優しく微笑んだ。

「……分かりました」
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