魔法使い時々王子
セオは人狼の仮装をしていた。

黒と銀を基調とした装いに、鋭い眼光を思わせる仮面。
王としての威厳はそのままに、どこか野性を感じさせる姿だった。

ひっきりなしに人々が挨拶に訪れ、セオはそれらに落ち着いた様子で応じている。

その合間を縫うように、アリスはそっとその隣に立った。

「……アリス。似合っているよ、魔女の仮装」

セオの低く穏やかな声に、アリスは小さく微笑む。

「ありがとう、セオ」

——その時だった。

会場の入口付近が、ふとざわつく。

遅れてやってきた一団に、周囲の視線が集まっていた。

セオもそちらへ視線を向け、わずかに目を見開く。

「……リト?」

驚きを含んだ声が、ぽつりと漏れる。

アリスも気づき、ぱっと表情を明るくした。

「リト……!」

リトは人々の視線など気にも留めず、無表情のまま歩いてくる。

ふと、近くのテーブルに置かれていた仮面を手に取ると——それを軽く顔の前にかざした。

簡素な動作にもかかわらず、どこか様になっている。

そのままアリスの前まで来ると、低く言い放った。

「……一時間で帰るからな」

「十分よ」

即答するアリスに、リトは小さく息をつく。

その後ろで、ノエルが一歩前に出た。

「いやぁ……舞踏会に参加するのは初めてでして」

柔らかな笑みを浮かべながら、周囲を見渡す。
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