魔法使い時々王子
賑わいの中心から、少し離れた場所で——

セオは静かに会場を見渡していた。

人々の笑い声、音楽、仮面に隠された素顔。
そのすべてを、冷静に観察するように。

やがて、すぐ側に控えていたウィルへと、わずかに視線を向ける。

「……ウィル」

低く落ち着いた声。

「アリスを、塔へ」

「……承知いたしました」

ウィルは一礼すると、人混みの中へと静かに姿を消した。

セオは再び視線を会場へ戻す。

その瞳の奥に、わずかな決意を滲ませながら。

その頃——

料理を前にしていたアリスのもとへ、一人の衛兵が歩み寄ってきた。

「アリス様」

小さく頭を下げる。

「セオ様がお呼びです。離れの塔へお越しいただきたいと」

「セオが……?」

アリスは少しだけ首を傾げたが、すぐに頷いた。

「分かったわ」

リトの方へ振り向く。

「ごめん、少し行ってくるね」

「……ああ」

リトはそれ以上何も言わず、皿に視線を落としたまま軽く手を振る。

アリスはルーナと共に、会場を後にした。
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