魔法使い時々王子
一方——

ロザリアの側に控えていたシドのもとにも、同じように衛兵が現れる。

「失礼いたします」

深く頭を下げる。

「お連れ様を、離れの塔へご案内するよう命を受けております」

シドは一瞬だけ目を細めた。

「……俺を?」

「はい」

わずかな沈黙。

仮面の奥で、思考が巡る。

やがて、小さく息を吐いた。

「分かった」

ロザリアへと視線を向ける。

「少し外します」

ロザリアはすべてを見透かしたように、静かに頷いた。

「ええ、行ってきなさい」

その声は、どこか柔らかかった。

アリスとシドは、それぞれ別の道を通りながら、同じ場所へと向かっていく。

離れに建つ、静かな塔へ。

やがて訪れる再会を、まだ知らぬままに——

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