魔法使い時々王子
「兄さんが……何を提案してきたの……?」
アリスの声は、わずかに揺れていた。
——兄とは、決して仲の良い兄妹ではなかった。
幼い頃から、兄は次期国王として扱われ、周囲の視線も、言葉も、すべてが違っていた。
自分は常に、その“次”。
そして兄が結婚し、子が生まれてからは——
もう、その位置ですらなかった。
忘れられていく存在。
(……私、ずっと兄のこと、羨んでいたのかもしれない……)
アリスは小さく息を飲み、シドを見つめた。
シドは静かに言葉を続ける。
「……恐らく、ミロ王国はこのまま星晶をイスタリアに渡すことはしない」
低く、落ち着いた声だった。
「国王は最終通告として、星晶を渡さなければ——アリスとセオ王子の離縁を要求するつもりだ」
「……っ」
アリスの表情が強張る。
「それに加えて、これまでミロを守ってきた軍事的支援も打ち切る」
淡々と告げられる現実。
だが、その一つ一つが重くのしかかる。
「……そうなれば、ミロは他国からの侵攻を受ける可能性が高い。今まで、イスタリアという大国に守られていたからな」
静寂が落ちる。
重く、息が詰まるような沈黙。
「……だから国王は、ミロが最終的に星晶を差し出すと踏んでいる」
シドの言葉に、迷いはなかった。
ただ事実として、そこにあるものを並べている。
そして——
わずかに間を置いてから、続けた。
「……だが、皇太子殿下の提案は違う」
アリスの瞳が揺れる。
「それを——受け入れるよう、進言しろと」
「……え……?」
一瞬、意味を理解できなかった。
だが次の瞬間、その言葉の重みが遅れて押し寄せる。
アリスは、言葉を失った。
ただ、驚きに目を見開いたまま——
しばらく、何も言えずに立ち尽くしていた。
アリスの声は、わずかに揺れていた。
——兄とは、決して仲の良い兄妹ではなかった。
幼い頃から、兄は次期国王として扱われ、周囲の視線も、言葉も、すべてが違っていた。
自分は常に、その“次”。
そして兄が結婚し、子が生まれてからは——
もう、その位置ですらなかった。
忘れられていく存在。
(……私、ずっと兄のこと、羨んでいたのかもしれない……)
アリスは小さく息を飲み、シドを見つめた。
シドは静かに言葉を続ける。
「……恐らく、ミロ王国はこのまま星晶をイスタリアに渡すことはしない」
低く、落ち着いた声だった。
「国王は最終通告として、星晶を渡さなければ——アリスとセオ王子の離縁を要求するつもりだ」
「……っ」
アリスの表情が強張る。
「それに加えて、これまでミロを守ってきた軍事的支援も打ち切る」
淡々と告げられる現実。
だが、その一つ一つが重くのしかかる。
「……そうなれば、ミロは他国からの侵攻を受ける可能性が高い。今まで、イスタリアという大国に守られていたからな」
静寂が落ちる。
重く、息が詰まるような沈黙。
「……だから国王は、ミロが最終的に星晶を差し出すと踏んでいる」
シドの言葉に、迷いはなかった。
ただ事実として、そこにあるものを並べている。
そして——
わずかに間を置いてから、続けた。
「……だが、皇太子殿下の提案は違う」
アリスの瞳が揺れる。
「それを——受け入れるよう、進言しろと」
「……え……?」
一瞬、意味を理解できなかった。
だが次の瞬間、その言葉の重みが遅れて押し寄せる。
アリスは、言葉を失った。
ただ、驚きに目を見開いたまま——
しばらく、何も言えずに立ち尽くしていた。