魔法使い時々王子
仮面舞踏会も、いつしか最も賑やかな時間を迎えていた。
音楽は途切れることなく流れ、人々は笑い合い、踊り続けている。
そんな中、ダリウスがふと懐中時計を取り出した。
「……二人とも、そろそろ帰らなくて大丈夫なのか?」
その言葉に、アリスも時計へ目を向ける。
「本当ね……」
思っていた以上に時間が過ぎていた。
「ローズ、そろそろ帰りましょう」
アリスが声をかけると、ローズは少しだけ名残惜しそうにダリウスを見た。
「ダリウスさんは、今夜はどちらに?」
「この近くの宿を取っています」
「そうですか」
ローズは少し考えるように首を傾げた。
「ミロには、いつまで滞在されるんですか?」
「まだ決めていませんが、あと数日はいるつもりです」
そう言って、ダリウスは穏やかに微笑んだ。
「明日、王宮へ伺う予定です」
その言葉を聞いた途端、ローズの表情がぱっと明るくなる。
「そうなんですね!」
アリスはそんな彼女を見て、小さく苦笑した。
「さあ、行くわよ、ローズ」
そしてダリウスへ向き直る。
「ダリウス、また明日ね」
「ああ。また明日」
ダリウスが軽く手を振るのを見届けると、アリスはローズの腕を引き、人混みの中へと歩き出した。