魔法使い時々王子
帰りの馬車へ乗り込むと、扉が閉まるのを待っていたかのように、ローズがぐっと身を乗り出してきた。
「ねぇ、アリス!」
その瞳は期待で輝いている。
「ダリウスさん、とっても素敵な方ね!」
アリスは思わず吹き出しそうになる。
「そうかしら?」
「そうよ!」
ローズは力強く頷いた。
「それで、明日、本当に王宮に来るの?」
「ええ。正式に謁見するみたい」
「そう……!」
ローズは嬉しそうに両手を合わせた。
そして何かを思いついたように、ぱっと顔を上げる。
「じゃあ、そのあと三人でお茶をしましょうよ!」
「え?」
「私が用意しておくわ!」
あまりにも勢いよく言うものだから、アリスは思わず目を瞬かせた。
「……もう、ローズったら」
呆れたようにため息をつきながらも、その口元には小さな笑みが浮かんでいた。
馬車は静かに夜の街を離れ、月明かりに照らされた王宮へと戻っていく。
アリスは胸の奥に残る不思議な温かさをそっと抱きしめていた。
窓の外には、まだ灯りの消えない街並みが流れていく。
アリスはそっと窓辺に寄り、その景色を見つめた。
王宮の外へ出たのも。
こうして街を歩いたのも。
そして、公式ではない舞踏会に参加したのも。
すべてが初めてだった。
最初は不安で、王宮を抜け出したことへの罪悪感ばかりだった。
けれど今は、それ以上に胸の奥が温かかった。
(……楽しかった)
誰も王太子妃としてではなく、一人の女性として接してくれた夜。
その小さな思い出は、アリスの心にそっと刻まれていく。
「ねぇ、アリス!」
その瞳は期待で輝いている。
「ダリウスさん、とっても素敵な方ね!」
アリスは思わず吹き出しそうになる。
「そうかしら?」
「そうよ!」
ローズは力強く頷いた。
「それで、明日、本当に王宮に来るの?」
「ええ。正式に謁見するみたい」
「そう……!」
ローズは嬉しそうに両手を合わせた。
そして何かを思いついたように、ぱっと顔を上げる。
「じゃあ、そのあと三人でお茶をしましょうよ!」
「え?」
「私が用意しておくわ!」
あまりにも勢いよく言うものだから、アリスは思わず目を瞬かせた。
「……もう、ローズったら」
呆れたようにため息をつきながらも、その口元には小さな笑みが浮かんでいた。
馬車は静かに夜の街を離れ、月明かりに照らされた王宮へと戻っていく。
アリスは胸の奥に残る不思議な温かさをそっと抱きしめていた。
窓の外には、まだ灯りの消えない街並みが流れていく。
アリスはそっと窓辺に寄り、その景色を見つめた。
王宮の外へ出たのも。
こうして街を歩いたのも。
そして、公式ではない舞踏会に参加したのも。
すべてが初めてだった。
最初は不安で、王宮を抜け出したことへの罪悪感ばかりだった。
けれど今は、それ以上に胸の奥が温かかった。
(……楽しかった)
誰も王太子妃としてではなく、一人の女性として接してくれた夜。
その小さな思い出は、アリスの心にそっと刻まれていく。