魔法使い時々王子
「いやー、今夜は飲んだなぁ……」

夜もすっかり更けた頃。

キースがカウンターに突っ伏しながら言った。

レオの店の客も少なくなり、外も静かになっている。

シドもリアンも、程よく酔いが回っていた。

久しぶりに四人で集まり、昔話や近況を語り合った。

それだけで、あっという間に時間が過ぎていった。

シドはグラスをゆらりと傾ける。

琥珀色の液体が静かに揺れた。

そして三人を見渡す。

レオ。

リアン。

キース。

大切な仲間たちだった。

「俺、みんなに話すことがある」

唐突な言葉に、三人の視線が集まった。

「なに?」

リアンが不思議そうに首を傾げる。

だがシドはすぐには答えなかった。

少しの沈黙。

やがてグラスを置き、静かに口を開く。

「建国記念日の式典が終わったら……また時間をくれないか」

三人が顔を見合わせる。

「その時に話す」

レオが眉をひそめた。

「なんだ? 今じゃ駄目なのか?」

「そうよ。どうしたの?」

リアンも心配そうな顔をした。

その時だった。

「いいじゃないか」

キースが口を開いた。

カウンターに肘をつきながら、いつもの調子で笑う。

「建国記念日の後で、また四人集まろうぜ」

レオは肩をすくめた。

「まぁ、本人がそう言うならな」

「そうね」

リアンも頷く。

シドはそっとキースを見た。

キースもまた、シドへ視線を向ける。

そして誰にも気づかれないように、小さく頷いた。

その仕草だけで十分だった。

キースは分かっている。

自分が何を話そうとしているのか。

シドは小さく息を吐いた。

建国記念日の式典が終われば――。

きっと全てが動き始める。

その前に。

大切な友人たちには、自分の口から伝えたいと思った。
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