魔法使い時々王子
「どうしてローズの提案に乗ったんだ?」

ローズが図書室を後にすると、リトがそう問いかけた。

アリスは少し考えてから答える。

「私も、ダリウスにしばらく側にいてほしいと思ったのよ」

「何故?」

リトが眉を上げる。

アリスは静かに頷いた。

「……星晶の件、相談したいの」

そう言って視線を落とした。

「それに、少し力を貸してもらうことになるかもしれない」

リトはしばらく黙っていたが、やがて小さく頷く。

「なるほどな」

ダリウスはアリスにとって従兄弟だ。

幼い頃から兄妹のように育った存在でもある。

信頼できる相手なのだろう。

「次、イスタリアの使者はいつ来るんだ?」

リトの問いに、アリスは首を横に振った。

「分からないわ……」

窓の外へ目を向ける。

「でも、イスタリアの建国記念日が終わったら、すぐだと思う」

その言葉に、二人の間へ重い沈黙が落ちた。

建国記念日が終われば。

きっと物事は大きく動き始める。

アリスも。

シドも。

もう、立ち止まってはいられないのだ。
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