魔法使い時々王子
王宮内を歩けば、使用人たちが忙しく走り回っている。

近衛兵たちは警備に追われ、貴族たちは来賓の対応に忙しい。

リアンも例外ではなかった。

遠くの廊下では大量の書類を抱えながら走っていく姿が見える。

声をかける暇もないほど忙しそうだった。

「今年は例年以上だな……」

シドは思わず呟いた。

「建国三百周年だからね」

セラが肩をすくめる。

「そりゃ盛り上がるわよ」

王都ではレオの店も大繁盛だった。

建国記念日を祝う客で昼夜問わず賑わい、久しぶりにイスタリアへ戻ってきているキースも祭りを楽しんでいるらしい。

それぞれが、それぞれの場所で建国記念日を迎えていた。

去年の建国記念日はまだシドは王宮で働き出したばかりだった。

この一年はとても早く感じた。

そして――。

三日間にわたる祝祭は大きな問題もなく進んでいった。

式典。

舞踏会。

騎士団の演武。

王都を挙げての祝賀行事。

人々の笑顔と歓声に包まれながら、建国記念日は大いに賑わった。

誰もが平和な祝祭を楽しんでいる。

だが、その裏で。

静かに迫りつつある嵐に気づいている者は、ごくわずかだった。
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