魔法使い時々王子
シドは自室へ戻ろうと廊下を歩いていた。

すると前方からルイの側近がやって来る。

「シド様」

「どうした?」

「ルイ様がお呼びです」

シドは一瞬だけ表情を引き締めた。

こんな時間に呼び出される理由は、一つしか思い当たらない。

「分かった」

そう答え、側近の後についていく。

しばらくして王太子の私室へと辿り着いた。

重厚な扉が開かれる。

中に入ると、ルイはソファに腰掛けていた。

建国記念日の式典を終えたばかりだというのに、疲れた様子は見せていない。

だが、その表情はどこか硬かった。

「来たか」

ルイは向かいの席を示した。

「君も座るといい。式典は疲れただろう」

「ありがとうございます」

シドは一礼し、腰を下ろした。

部屋にはしばし沈黙が流れる。

やがてルイが口を開いた。

「さっそくだが――父上は三日後、再びミロへ使者を送る」

シドの表情が僅かに引き締まる。

「最終通達だ」

ルイは静かに続けた。
< 377 / 379 >

この作品をシェア

pagetop