魔法使い時々王子
「星晶を引き渡すか。同盟を破棄するか」

その言葉は重かった。

もはや交渉ではない。

選択を迫る最後の宣告だ。

「シド」

ルイは真っ直ぐシドを見た。

「アリスに連絡しろ。そしてセオ王子にも事の次第を伝えるようにしてくれ」

「……分かりました」

シドは静かに頷いた。

ルイは一度目を伏せる。

そして低い声で言った。

「使者が戻れば、いよいよだ」

シドは何も答えなかった。

答える必要もなかった。

二人とも、その意味を理解している。

やがてルイは再び顔を上げた。

「君は――決心はついたか」

その問いに、シドは迷わなかった。

真っ直ぐルイを見返す。

「はい」

短い返事。

だが、その声には確かな覚悟が込められていた。

ルイは静かに頷く。

それ以上、言葉は交わさなかった。

もう互いに言うべきことはない。

残された時間は、あとわずかだった。
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