魔法使い時々王子


「どうぞ。」

中へ入ると、セオは机に向かい、書類に目を通していた。

アリスの姿に気づくと、手を止めて顔を上げる。

「……アリス。どうしたんだい?こんな時間に来るなんて珍しいね。」

アリスは静かにセオの向かいのソファへ腰を下ろした。

「仕事中、ごめんなさい。少し……話があるの。」

その声色に、セオは何かを察したように表情を引き締めた。

「どうしたんだい?」

アリスは膝の上で両手をぎゅっと握りしめる。

「……星晶のこと。」

その一言に、部屋の空気が変わった。

「イスタリアとの話し合いは、まだ平行線のままよね?」

セオは羽ペンを静かに机へ置いた。

「ああ。今日も会談の予定だったんだが、イスタリアから急遽中止の申し出があってね。」

アリスは小さく頷く。

「ええ。知ってるわ。」

そして、ゆっくりと顔を上げた。

「会談が中止になった原因は、私なの。」

一拍置き、静かに言い直す。

「……いいえ。正確には、私たち。」

セオは黙ってアリスを見つめていた。

その視線をまっすぐ受け止めながら、アリスは覚悟を決めたように口を開く。

「私の兄、ルイが考えた計画を……今から話させて。」

セオは何も言わず、静かに頷いた。
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