魔法使い時々王子
アリスは静かに語り始めた。

ルイが立てた計画。

シドの本当の素性。

そして、自分もその計画に賛同し、協力することを決めたこと。

一つひとつ、隠すことなく丁寧に話した。

セオは最後まで一度も口を挟まなかった。

ただ黙って、アリスの言葉に耳を傾けていた。

すべてを聞き終えると、部屋には重い沈黙が流れた。

やがて、セオがゆっくりと口を開く。

「……僕は、星晶をイスタリアへ譲るつもりで、父上や大臣たちと話を進めていた。」

その言葉に、アリスは静かに頷いた。

やはり――。

セオならそう判断するだろうと、どこかで分かっていた。

「ええ。」

「その決断は、王子として立派だし、正しいと思うわ。」

アリスはまっすぐセオを見つめる。

「もし他に方法が何もないのなら、私もそうするしかないと思う。でも、この計画が成功すれば、星晶も国民も守れる。」

セオは腕を組み、静かに目を閉じた。

深く息を吐く。

「……こんなことは言うべきじゃないのかもしれない。」

そう前置きすると、苦しそうな表情でアリスを見つめた。

「君が、まるで道具のように扱われているじゃないか。」

その言葉には、王子としてではなく、アリスを守りたいという想いが込められていた。

アリスは少しだけ微笑む。

「……私、何の取り柄もないの。頭が特別いいわけでもないし、国のために何か大きなことを成し遂げたこともない。」

自分の手を見つめながら、小さく息をつく。

「ただ、王家の血を引く王女というだけ。」

そして、ゆっくりとセオを見つめ返した。

「だから、国民のためになるのなら、私は道具のように使われても構わない。政治の切り札として、この命に意味があるのなら、それでいいの。」

セオは何も言えなかった。

その小さな肩に、これほどの覚悟を背負わせてしまっていたのかと思うと、胸が締めつけられた。
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