魔法使い時々王子
セオは執務室で、一人静かに目を閉じていた。

アリスから聞かされた計画。

その計画が成功すれば、国民も、星晶も守れるかもしれない。

だが、その代償はあまりにも大きい。

アリス自身が、その身を危険へ投じることになる。

「……どうすればいい。」

セオが小さく呟いた、その時だった。

コンコン。

執務室の扉がノックされた。

「どうぞ。」

扉が開き、姿を現したのは父である国王だった。

「まだ仕事をしていたのか。」

「はい。」

セオは立ち上がって一礼し、国王を部屋へ迎え入れた。

国王はソファへ腰を下ろすと、ゆっくりと口を開いた。

「イスタリアから、会談再開の連絡はまだ来ておらぬ。突然会談を中止した理由も分からん。何か妙だとは思わんか。」

セオは静かに頷いた。

「……実は、そのことについてお話があります。」

その真剣な表情に、国王は僅かに眉を動かした。

「何だ。」

セオはゆっくりと息を吸い、言葉を選ぶように口を開く。

「昨夜、アリスが私のところへ来ました。そして、イスタリアのルイ王子が立てた計画を聞かされました。」

「……計画だと?」

国王の表情が一変する。

「はい。」

「父上にも、お聞きいただきたいのです。」

セオは静かに頷き、一つひとつ丁寧に話し始めた。

ルイが立てた計画。

シドの本当の素性。

そして、アリスもその計画に賛同し、自ら協力すると決意していることを――。

国王は最後まで一言も口を挟まず、ただ黙って話を聞いていた。

やがて、すべてを聞き終えると、深く息を吐く。

「……なるほど。だからイスタリアは、会談を中止したのか。」

セオは静かに頷いた。

「はい。計画が国王陛下に悟られた可能性があるそうです。」

国王は腕を組み、しばらく考え込む。

そして、ゆっくりとセオへ視線を向けた。

「では、セオ。お前は、この計画をどう思う。」

突然の問いに、セオは言葉を詰まらせた。

夫としては、アリスを危険な目に遭わせたくない。

だが、王太子として考えれば、この計画は国民も星晶も守れる唯一の道かもしれない。

その二つの想いが胸の中で激しくぶつかり合っていた。
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