魔法使い時々王子
アリスの部屋に、ダリウスが訪れていた。

セオが答えを出すまで、アリスたちはただ待つことしかできない。

二人はバルコニーに並び、静かに紅茶を口にしていた。
柔らかな風が吹き抜け、庭園の花々を揺らしている。

「ごめんね、ダリウス」

アリスはカップを見つめながら、ぽつりと呟いた。

「せっかくここに留まってくれているのに……何もすることがなくて。もし旅を再開しても……」

申し訳なさそうに続けるアリスの言葉を遮るように、ダリウスは穏やかな声で言った。

「側にいる。最後まで」

そして、優しく微笑む。

その言葉に、アリスは一瞬目を見開いた。

「……ありがとう」

小さく呟いた声には、安堵と感謝が滲んでいた。

少しの沈黙の後、アリスはふと思ったように尋ねる。

「ダリウス、次はどこの国に行く予定なの?」

「そうだなぁ……まだ決めてないけど」

ダリウスは空を見上げ、少し考えるように答えた。

「一度、国に帰るのもいいかもな」

「それって……暫く国にいるってこと?」

アリスが驚いたように聞き返す。

「まぁ、まだ決めかねてるけど。一つの案としてな」

ダリウスはそう言って紅茶を口にする。

アリスは珍しいと思った。

いつだって彼は、次に向かう場所を決めていた。
一つの場所に留まることなど、彼らしくないと思っていたから。

だからこそ、その言葉が少しだけ意外だった。
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