魔法使い時々王子
「あー!!ここにいた!」

突然、アリスの部屋の扉が勢いよく開いた。

「アリスの部屋にいたのね!」

入って来たのはローズだった。

「二人でお茶してる?!作戦会議?!私も呼んでよ!!」

ぷりぷりと怒るローズの姿に、アリスは思わず笑みをこぼした。

「ごめんなさい、ローズ。すぐに席を用意するわ」

久しぶりに見せたアリスの笑顔を見て、ダリウスは少しだけホッとしたような表情を浮かべた。

ここ数日、アリスの顔には不安や迷いが浮かんでいた。
だからこそ、今の自然な笑顔を見ることができたことに安堵したのだった。

ローズも加わり、三人で紅茶を囲む。

「ねぇ、セオの返事を待つ間、何かやることはない?」

ローズは腕を組みながら言った。

「ただじっと待っているだけでいいのかしら?」

「……今は下手に動いても……」

アリスは静かに答えた。

「セオがどう決断するかわからないからね」

その言葉に、ローズは少しがっかりしたような顔をする。

本当は何かしていたかったのだろう。
何もできずに待つという時間ほど、苦しいものはない。

「ねぇ、明日の舞踏会、アリスも出る?」

ふと、ローズが話題を変えた。

「ええ、その予定よ」

「舞踏会?」

アリスが頷くと、ダリウスが不思議そうに尋ねた。


「遠方から訪れている貴族や、各国から来ている客人をもてなすための親睦会よ。」

「なるほどな」

ダリウスは納得したように頷いた。

セオが答えを出すまで、アリスたちにできることは限られている。

それでも、国は止まることはできない。

不安を抱える者たちに、いつも通りの日常を見せることもまた、王族としての務めなのだから。
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