魔法使い時々王子
「セオにはじっくり考えてほしいです。でも、明日は舞踏会がありますし、その次の週も公務が続いています。お身体が心配で……」

アリスの言葉に、アルシエラはティーカップを持つ手をふと止めた。

「そういえば、、明日は各国の大使や、遠方から訪れている貴族を招いての舞踏会でしたね」

そう呟くと、アルシエラは静かに何かを考え始める。

しばらく沈黙が流れた後、ふっと微笑んだ。

「そうね。明日の舞踏会は、私も参加するわ」

その言葉に、アリスは目を見開いた。

アルシエラが王妃として舞踏会へ姿を見せることは、ここ数年ほとんどなかった。

少なくともアリスが知る限りでは、セオとの結婚を祝う舞踏会以来、一度も参加していない。

「王妃様が参加されたら、皆様きっとお喜びになります。でも……どうなさったのですか? 明日の舞踏会に何か……」

アリスが尋ねると、アルシエラはくすりと笑う。

「ええ。久しぶりにね」

そう言って悪戯っぽく微笑みながら続けた。

「もっとも、私が参加しても、誰も気づかないでしょうけれど」

冗談めかしたその言葉に、アリスは思わず笑みをこぼした。

明日、会場でアルシエラの姿を目にした人々が驚く様子が、目に浮かぶようだった。
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