魔法使い時々王子
2人が部屋から出て行った後、アリスはゆっくりと窓を開けた。

風が頬を撫で、静かな空気が部屋へ流れ込む。

アリスは窓辺に立ち、夜空を見上げた。

――シドから、何か連絡は来ていないだろうか。

そんな思いで辺りを見渡す。

だが、伝書鳥のエミリーの姿はどこにも見当たらなかった。

アリスは引き出しを開け、小さな笛を手に取る。

これを吹けば、エミリーはすぐに飛んで来てくれる。

けれど、その手は途中で止まった。

「……ううん」

静かに首を横へ振ると、笛を元の場所へ戻す。

今、シドに頼るべきではない。

これから先、どんな未来が待っていたとしても――。

やるべきことは、もう決まっている。

この計画を成功させること。

星晶を守り、この国で暮らす人々を守ること。

そのために、自分にできることを、最後までやり遂げる。

ただ、それだけだった。

アリスはそっとベッドに腰を下ろし、胸に手を当てる。

ゆっくりと息を吸い、静かに吐き出した。

揺れていた心は、まだ完全に晴れたわけではない。

それでも、その瞳には確かな決意の光が宿っていた。

< 412 / 421 >

この作品をシェア

pagetop