魔法使い時々王子
第二十九章 王家の矜持
日が暮れ、王宮に夜の帳が降り始めた頃。

アリスはルーナに舞踏会へ向けた準備をしてもらっていた。

髪を丁寧に結い上げ、化粧を施され、最後に美しいドレスへと袖を通す。

鏡に映る自分の姿を見つめ、アリスは小さく息を吐いた。

「アリス、綺麗!!」

先に準備を終え、部屋で待っていたローズが、鏡越しに声を上げた。

「ありがとう。ローズも素敵よ」

アリスが振り返ると、ローズはいつも以上に華やかなドレスに身を包み、嬉しそうに笑っていた。

そんな穏やかな時間が流れていた、その時。

コンコン。

部屋の扉がノックされた。

「はい?」

ローズが扉へ向かい、開ける。

「……リト?」

そこに立っていた人物を見て、ローズは驚いた声を上げた。

「驚いた。あなたも参加するの?」

問いかけられても、リトはいつものように多くを語らない。

ただ静かに部屋へ入ってくる。

「さぁ、行きましょうか」

準備を終えたアリスは立ち上がり、二人へ微笑んだ。

そして三人は、舞踏会の会場へ向かうため部屋を後にした。
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