魔法使い時々王子
ヴァルターが会場を後、先ほどまで張り詰めていた空気は、少しずつ和やかなものへと戻っていく。

やがて、招待客たちはそれぞれ相手の手を取り、ダンスを始めた。

アルシエラも国王と向かい合い、優雅に踊っている。

アリスはその姿を遠くから見つめた。

アルシエラがいてくれて、本当によかった。

心の底から、そう思った。

けれど――

ヴァルターの言葉は、いつまでも胸の奥に重くのしかかっていた。

自分だけではない。

もしかしたら、ここにいる人たちも同じことを思っているのかもしれない。

イスタリアの姫である自分が、この国の王太子妃になったことを。

星晶を手に入れるために、自分がこの国へ来たのではないかと。

そう考えると、アリスはこの場にいることさえ居た堪れなくなった。

「アリス、大丈夫か?」

声を掛けてきたのは、リトだった。

「え……ええ。大丈夫よ」

アリスはそう答えると、ゆっくりと深呼吸をした。

「……部屋に戻るか?」

リトの言葉に、アリスは少し考え込んだ。
< 418 / 425 >

この作品をシェア

pagetop