魔法使い時々王子
…でも、私は――

アリスは言葉を止めた。

ここで逃げてはいけない。

そう思った。

アリスはグッと拳を握ると、顔を上げた。

「ううん。最後までここにいる」

その言葉に、リトはふっと微笑んだ。

「大丈夫。私たちがずっとそばにいるわ!」

ローズがアリスの手をぎゅっと握る。

「堂々としていればいい」

ダリウスも静かにそう言った。

アリスは二人の言葉に、思わず涙がこぼれそうになった。

そんなアリスの様子を少し離れた場所から見ていたセオも、ほっとしたように微笑んだ。

その後の舞踏会は、何事もなかったかのように穏やかに過ぎていった。

やがて退席の時間となり、アリスはローズたちと共に会場を後にした。

扉を出た瞬間――

ふっと、身体から力が抜けた。

「……疲れた」

今はとにかく、早くベッドに入って眠りたい。

そんなことを考えながら、アリスはローズに付き添われて自室へ戻った。

部屋に入ると、ソファへ倒れ込むように腰を下ろす。

「アリス、今日はお疲れ様。ゆっくり眠ってね」

ローズが優しく声を掛ける。

「ローズ、ありがとう。おやすみなさい」

「おやすみ、アリス」

ローズを見送ると、アリスは静かに息を吐いた。
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