激重年下わんこに懐かれてます
 私は離れようともがくけど、彼はぎゅっと抱きしめて来る。
「ふふっ。あなたのことはもうぜんぶ知ってるのに、恥ずかしがってるの、かわいい」
「……! そういうこと言うの禁止!」

「ダメなの?」
 少し体を離して、彼は窺うように聞く。直後、心臓が撃ち抜かれた。
 私より背が高いのに上目遣いなんてされたら、ああ、もう、なんて言っていいの、これ!

 彼はまたぎゅっと私を抱きしめ、耳たぶにキスをしてくる。
「もっとあなたを感じたいな……」
「ダ、ダメだってば! お風呂入りたいし、お腹空いたし!」

「じゃあお風呂、一緒にはいろ?」
「ダメだってば!」
「えー……」
 彼はしゅんとして、悲しそうにうなだれる。

 え、なにこれ、私が悪いの?
 じとーっと罪悪感を誘う視線を投げられて、私の胸がちくちくと痛む。

「俺、ずっと我慢してたのに。会社に迎えに行きたいけど、行くと困るっていうから……ずっと会いたかったのに。あなたが朝会社に行ってから今まで、ずっと寂しくって。あなたがいないと俺には呼吸する価値すらないのに」

「……そんなことばっかり言って。私に会う前だってちゃんと生きてたでしょ?」
「ううん……ほとんど死んでた。本当に俺、あなたがいないと生きていけない」
 べったりとくっつかれて囁かれる。
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